【Fリーグ2015/16】永井義文 イタリアで変わったゴールの概念

――イタリアでのプレー映像を見ましたが、泥臭いゴールを決めていましたね。
「そうなんです。まさに、そのゴール前のところを学びましたね」

――具体的に説明してもらえますか?
「向こうの選手は、とにかく大きいし、強い。自分は176センチしかないけど、相手は180センチ、190センチが当たり前で、体重も100キロ弱の選手が多いんです。自分と同じくらいの身長でも、体重は10キロくらい違う。Fリーグの選手に例えるなら、全員がディドゥダか、それ以上という体格です。その中で、いかにゴールを量産するか。オフ・ザ・ボールの動きで相手を外す。ゴール前で良いポジションをとる。1メートルにこだわることですよね。より細かいことをいえば、セカンドポストに入るタイミングですね。先にゴール前に入って、ポストを触るんです。そうすることで、ゴールの位置を把握する。それからは、ボールを見続けるんです」

――自分のポジションを手で把握するんですか?
「そうです。ボールから目を離すと、ボールが来るタイミングを逃してしまう可能性がありますから。ポジションは手で把握して、この選手はシュートが強いからこっちに動こうとか、この選手はこのタイミングでゴール前に入れてくるとか、ボールを持っている人によってゴール前のポジションの取り方を変えていく。その辺りの本当に細かい部分っていうのは、イタリアに行ってから考えるようになりました。Fリーグでプレーしていた時もゴールに対してのこだわりは持っていましたよ。でも、それはどうやって相手をかわすか、どうやってターンしてシュートを決めるかとか、『自分の力で相手をはがしてシュートを打つこと=ゴール』でした。でも、イタリアではフィジカルの差があり過ぎて、そんなプレーはほとんどできません。それでも周囲にはゴールが求められる。そうなると、どうやって1タッチでシュートに持って行くか。周囲の状況をしっかり把握して、オフ・ザ・ボールの動きでマークを外してシュートを決める。『泥臭いゴール=ゴール』という図式に変わりましたね」

――イタリアでの1年で、とにかくゴールを取ることを突きつめたんですね。
「ゴールを取ってないと、むちゃくちゃに言われましたからね。1試合目、2試合目で、たまたまゴールを決めることができたんです。でも、そこから得点が挙げられなくなって、9試合経っても2ゴールのままでした。そうするとチームで契約しているレストランに行って食事を注文しても、店員がすごく雑に『ドンッ』ていう感じでお皿をテーブルに置くんですよ」

――『ゴールを決めてから、飯を食いに来い』と。
「そんな感じです。結果を知らない店員に『点を取ったか?』と聞かれて、『取ってない』と答えると、記事にできないような言葉をバンバン言われて。しかも、僕たちは毎日そこで食事をするので、次の日に別の店員に接客されると、また同じことをされて…。途中からはチームメイトにも『おまえは、最初だけやったな』とか言われましたし、『ゴールを決めないと、えらいこっちゃ』と思いましたね。本当に、ゴールがすべてなんですよ」

――アシストではダメなんですか?
「アシストランキングっていうのがあれば、また話は変わってくるんでしょうけどね。いくらアシストをしても、絶対に俺の方がうまかったとしても、評価の基準はゴールだけでした。それで練習から、いかにゴールを取るかだけを追及して、実際にシーズン終盤に点を取れるようになってきたら、もう神様扱いでしたね(笑)。以前は、『ドンッ』とテーブルに生ハムとチーズの乗った皿を置いて行った店員が、『スッ』と優しくテーブルに皿を置いて行ったと思ったら、生ハムとチーズに加えて、ムール貝がおまけで付いていたり、『ケーキもあるぞ!』ってサービスしてくれたり(笑)」

――それはまた極端ですね(笑)。
「サポーターも、そんな感じですからね。道ですれ違ったとき、点を取っていない時期は軽く挨拶をするくらいでしたけど、点を取った後だと、『おー!! ゴールを決めていたな!』って喜んでくれて、話しているときにその人の知り合いが来ようものなら『こいつは、オレの友達なんだ!』って。『いやいや、友達ちゃう。選手とサポーターや』っていう感じでしたけど(笑)。とにかく、評価対象はゴールというのは痛感させられました」

――そういう話を聞くと、ピヴォの永井選手がその環境でプレーしたことの意義は大きい感じがします。
「この感覚は、持ち続けたいですね。点を取り続けたいし、サテライト時代からお世話になっているこのチームで優勝したいっていうのもあります。木暮監督がやろうとしている質の高いフットサルが体現できているかは分かりませんが、指導の質は間違いなく高いですし、このフットサルで勝って、『こういうフットサルをするといいよ』という指標にしたいですね」

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