- 2015-11-16
- レポート・ギャラリー, 日本代表
以前当サイトでも紹介させてもらった、「デフフットサル」(ろう者を対象としたフットサル)。
「ただ、聞こえないだけ。」デフサッカー・フットサルを知っていますか?
11月7、8日(土・日)の2日間、デフフットサルの日本男子・女子代表が、弾丸合宿として関東地域にて、競技チームと練習試合を行った。
筆者は11月8日(土)に、現在関東1部の首位に立つ、柏トーア’82との練習試合を取材させてもらった。
この試合は、柏トーアの高村 輝選手と、デフフットサル男子日本代表の船越 弘幸選手のつながりから実現した機会だ。
肝心の試合にてついて。純粋にフットサル競技としての試合を見ての感想だ。
まず結果から言えば、ランニングタイム35分、40本の2本を行い、1本目は3-1で柏トーアが制し、2本めは0-0で引き分けとなった。柏トーアは若手も多く出場させ、また新たな試みに取り組んでいる最中だが、それを差し引いてもデフ男子のプレーは面白く、魅力あるものだった。
1本目の試合開始直後は、ほぼ柏トーアがポゼッションし、デフ男子は受け身でディフェンスに奔走していた。
しばらくこの構図のまま柏トーア優位で試合は進んだが、徐々にデフ男子が試合のスピードに慣れていくと、カウンターから相手ゴレイロのミスも誘発し、1ゴールを記録。時間の経過とともに、徐々に素早い切り替えと1対1の強さも見せ、チャンスを多く演出していった。この強みが発揮される様になると、”デフ”というカテゴリすら忘れるようなプレーを繰り返し、相手を苦しめる場面を作り出せる様になる。
デフ側の課題として見えたのは、個々がボールを持つ時間が長く、上手くサポートも入ることが出来ずにボールを奪われてしまう場面が多かったことだ。船越選手が軽快にボールをさばきチームをコントロールしていたが、全体としての動きはまだぎこちない部分が目立った。これは仲間とのコミュニケーションを視覚や経験に頼らなければならず、まだ噛み合っていないことが挙げられるが、これも船越選手を中心として、明確に課題として捉えることが出来ている。徐々に改善されていくはずだ。
また、ボールを持つ時間が長いことも、すべてが悪い癖だとは限らない、と思っている。簡単に他選手を頼ることが出来ない分、1対1での技術や、打開の強さ、アイディアなど、付いてくるものは多くある。特に埼玉県1部のグランデに所属する風間 隆由選手は、前線でも攻撃参加でチャンスを多く作り出し、1対1でも強さを発揮していた。1、2点、追加で入っていても、おかしくはなかった。他選手も個々で粘り強いプレーを見せていたことは印象強く記憶に残っている。
タイムアップを迎えると、両チームがコート中央に整列。デフ男子の船越選手から感謝の言葉と、ワールドカップへ向けての意気込みが伝えられた。その後固い握手を互いに交わし、両チーム合わせての記念撮影を行って、デフ男子は次の練習試合会場へ向かっていった。