デフフットサル男子日本代表・船越 弘幸選手「大事なのは『執念』。がんばってみなければわからないもの」

11月8日(日)に行われた、デフフットサル男子日本代表×柏トーア’82のトレーニングマッチ。
デフ男子代表である船越 弘幸選手に、取材後話を聞いた。この対戦が決まった経緯や、試合を振り返ってみての感想。そして間近に近づいたワールドカップについて。大怪我から復活を果たし、大舞台に挑む船越選手の執念は、フットサルに対す想いそのものだと感じた。

ーー昨日の対戦について。対戦が決まった経緯はどんなものだった?
「もともと柏トーアの高村君とは面識はなかったのですが、自分が足首の手術で入院してるときに、おざわゆうこさん(FUTSAL PIX)を通して、高村君がエールの意味合いで、自分自身の似顔絵を描いてくださったのが始りですね。それで、9月の浦安市総合体育館でのデフフットサル日本代表周知イベントのとき初めて顔を合わたんですよね。ワールドカップ3週間前から3週連続でデフフットサル日本代表の自主合宿をやることになり、対戦相手を探す中、なかなか確保できなかったので、関東リーグ1部の首位チームがこんな自分たちを相手してくれるわけないだろうな、とダメ元で高村君にお手合わせ願いしたら快諾してくれ、トレーニングマッチが実現しました。
高村君とは『いずれか一緒にボール蹴ろう!』とお互い話してたんですけど、それがすぐに実現できるとは思ってませんでした。これは必然の流れだったんでしょうね」

ーー実際柏トーアと対戦してみて、何を感じたか。
「自分はずっと競技志向チームでプレイしてきてるし、関東リーグのレベルはわかってるつもりでした。ましてや関東1部の首位、Fリーグ準会員だから尚更で。僕たちデフフットサル日本代表は、健聴者の世界のトップリーグを経験したことないメンバーのがほとんどなので、柏TORさんのサンドバッグ状態になってしまうのは想定内です。ワールドカップのとき、格上相手と戦うことをイメージして1対1で勝つことより、2対1で勝つという数的有利のポジショニング、カバーリングを徹底しようと話し合って臨みました。1本目(35分ランニング)は柏TORさんのペースに振り回されて1-3でしたが、徐々に柏トーアさんの戦い方やクセが掴めてきて、2本目(40分ランニング)は0-0で終えることができました。相手のミスに助けられた部分多々ありますが、結構押されっぱなしでしたね。
柏トーアさんもリーグ中断期でいろいろチャレンジしながら試行錯誤中ときいてたので、本来の状態ではないのが伺えました。サイドからのセグンドパウに対応できてなかったり、裏を取られたり、簡単にエントラリーニャで通されたりと耳が聴こえない自分たちの「欠点」を見事に突かれたTRMでした。
個々の能力高いし、戦術も参考になることだらけで勉強になりました。これは「観る」より「体感」しないとわからないものです。ワールドカップでは、柏TORさんとのTRMのように「我慢」の戦いもあることを想定して戦えたし、我々デフフットサル日本代表にとってものすごく大きな経験となりました。」

ーー見ていて、ボールを奪ってからの切り替えは速いな、と思いました。反対に、若干ボールを持ちすぎていた部分もあったと思いますが、その2つについてはどう捉えている?
「日本代表は学校の部活のように毎日顔合わせて練習してるわけではないし、個々がそれぞれ所属チームでやってきてるベースというかスタイルというものがあります。2ヶ月に1回のペースでしか集まれない代表合宿で、組織的なフットサルができるかといったら中々難しいし、まだまだフットサルを理解してないメンバーもいてるので、そんな中でチームとして最低限当たり前のことにしようと徹底的に共有してるのが「ディフェンス」と「切り替え」の部分です。まだまだ全員がしっかり出来てなくてもどかしいです。こればかりは個々の「意識」の問題だと思います。
チームとして最低限やらねばならない事さえしっかりしてれば、あとは個々のアイディアや身体能力に委ねるといったスタンスでやらせてるので、持ちすぎる部分は否めないです。あーしろ、こーしろと言ったら、その選手の特徴が消えてしまうので。
基本的にハーフラインから敵陣に入ったらどんどん仕掛けていいよ、後ろはカバーするからっていうごくシンプルなスタンスでやってます。ファーストセットとセカンドセットはスタイルが違うので、基本的に誰とのセットでやっても乱れないフットサルができるようになればいいんですが、中々難しいです。」

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