デフフットサル・サッカー日本代表/関西2部ジプシー 船越 弘幸 『限界は自分で作るもの。可能性は無限大』

funa-8ーー聴覚障害がある中、音のある世界でのプレーは大変な部分が多いと思います。どんな部分が大変だと思いますか? また、そこで本来の力を出す為に何を心がけていますか?
「後ろからのコーチングの声が聞き取れないので、人の倍は首振って目で情報を得るようにしています。
例えばディフェンスの時。身体の向きの指示や、マンツーマンでついていくか、受け渡しするかの声が聞き取れなく、てディフェンスが乱れてしまうことがよくあり、負担をかけてしまっています。
コーチングの声は聞き取れないが、逆にコーチングすることはできるので、後ろから全体を見渡しながらしっかりコーチングをして、ゲームをつくるようにしている」

ーー試合のハーフタイムでミーティングになると思うのですが、その時はどうしてますか?時折、何か口を開こうとする表情がみえたのですが。
「1対1での対話だったら口をしっかり見れるので会話できるが、全員でのミーティングだと所々から会話が飛び通うため、追い付かないことが多々ありますね。
会話内容は大体は把握できてるけど、本当にわからなかったら聞くようにしています。
わからないままプレーして、コンセプトに反するのは絶対ダメですからね」

ーー聞こえないという部分では、人より努力を強いられることも多々あったかと思います。逆にそれによって得た強みなどはありますか?
「聞こえないというハンデを背負ってる分、周りと同じことやってたら負けるというのは嫌というほどわかってるんで、周りの2倍3倍は努力する姿勢というか、ブラジルで培ったハングリー精神を意識して行動するようになりました」

ーーフットサルをするうえで一番苦しいことはなんですか?
「コミュニケーションがうまくいかずに思い描くプレーができなかったり、試合で使ってもらえなかったりした時ですね」

ーーフットサルをプレーしてきた中で、最もうれしかったことはなんですか?
「フットサルを始めたきっかけであり、手の届かない雲の上の存在であり、心の師として仰ぎ、目標として見様見真似させてもらってた上村信之介さんと仲良くさせてもらえてて、デフフットサルをすごく応援してくださってることですね」

ーーなぜデフとともに、関西リーグで戦いを続けているのか。関西リーグで学んだこと、感じたこと、自身の経験から、このインタビューを見てくれる人に伝えたい、伝えられることはなにかありますか? 
「これは自分自身の為であり、デフフットサルの未来の為でもある部分ですね。自分が更にうまくなる為には当然、自分のレベルの上のカテゴリーで揉まれないとダメだから。
それに耳が聞こえないという障害を持ってても、諦めずに頑張れば、関西リーグでも活躍できるというところを証明したかったし、デフの皆に希望を与えれたらなと思っているから。これは昔から「使命」だと思ってるし、これからもまだまだ頑張ります。
耳が聞こえないからと諦めるんじゃなく、耳が聞こえないのを強みに、人の倍努力すれば必ず報われると信じて今日までやってきたから今の自分があると思う。
でも自分一人だけの力ではなく、これまで出会って来た人達の協力や支えあってこそです。
どんなハンデがあろうが、どんな環境であろうが、感謝の気持ちを忘れずに、自分を信じて諦めずがんばることが大事。
諦めるのは簡単だけど続けるのは中々難しいし、そこはもう自分との戦いですが、乗り越えれば必ず報われると思います」

ーー最後に、デフフットサル日本代表について、伝えたいことがあればお願いします。
「我々デフフットサルを取り巻く環境は恵まれていません。
JFAや各クラブチームのように観客や会員、スポンサーなどの収入源があるわけでもないので、協会運営はボランティア、選手たちの合宿や遠征、日の丸のウェア類などは自己負担です。

そこを変えていくには、まず、一般の健聴者の方々にデフフットサルそのものを認知してもらうことが大事。

ネットやマスコミ露出、そしてイベントへの参加によって少しずつ周知されていくと、おのずと応援したいという人たちや企業が出てくると思います。
僕は日本ろう者サッカー協会が創設(1998年)された年から、今日まで長く日本代表に属していて、自分が一番歴史や苦労を良く知っています。
今の若い選手や、これからなりうるであろう未来の日本代表選手の為にも。
自分が味わってきた苦労を味わう必要のない、日本ろう者サッカー・フットサルの輝かしい未来の為にも、今は自分が積極的にネットやマスコミに露出して、色んな形でアピールしたり、イベントに参加しています。

この活動は自分の時間を惜しんで自己負担でやってきてるけど・・・本当にデフフットサルの未来を変えるためには、何らかの犠牲はつきものだと思います。

現日本代表のメンバーも、周りの人に助けてもらうのではなく、自発的に動いて欲しいのが本音ですが、どうしても自分の時間や金銭面を犠牲にしてまで活動できないというのが現状です。
日本代表を引退した選手も、今までお世話になった恩返しとして活動に関わって欲しいなというのはあります。

現実的にみたらこの活動は自分にとってメリットは何もないのですが・・・やっぱり何かを変えていかない限り、デフサッカー・フットサルの未来は変わらないままだと思うし、この活動をきっかけに健聴者の世界で、デフサッカー・フットサルの話題が当たり前のように出てくる時代に変わるといいなという想いがあるからこそ、今は焦れずにがんばって活動していきたいです。

デフの人間が健聴者の世界(関西リーグ)で活躍することも、デフサッカー・フットサルを周知することにつながると思います。
色んな人に勇気や感動を与えれるよう、これからもまだまだ先立って頑張っていかねばならないと思っています!」

ーーありがとうございました。

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