【関東リーグ1部】ファイルフォックス府中が関東を制した3つの理由。

フウガが抜けて、群雄割拠、混戦を極めた関東リーグ1部。そこで最後に頂点に立ったのは、ファイルフォックス府中。実に8年ぶりとなる関東制覇だった。
かつては日本フットサル界を先頭に立って引っ張ってきたチームだ。古豪復活、という言葉が似合うのかもしれない。しかし、今のファイルは生まれ変わった若いチームだ。毎年の様にFリーグへ選手が流出し、チームはシーズンを終えると一度リセットされる。新たな組織作りに苦しむチームも多い中、ファイルはなぜ頂点に立てたのだろうか。

 

1.ファイルの三原則。

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「僕らは三原則と言っているのですが、気持ちの部分、走る量、切り替えのスピード。そこを本当に出さなきゃ勝てない。」(吉成圭 選手兼監督)

昨シーズンからファイルが意識している3つのポイント。この3つが現在のファイルを作りあげている。気持ちの強さ、走り切ること、攻守、プレーの切り替えの速さ。関東を制したファイルのプレーからは、この3点を強く感じた。
「口酸っぱく言い続けて、その上でゲームをモノにして初めて分かっていくと思うので。そこはまだ今年のチームは身についていないです。」と、3節の時点で吉成は口にしていた。それが徐々に浸透し、選手の意識が統一されたことは大きい。

 

2.壁のない意思疎通と対話。

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「対話ですね。ベスト5に選ばれた瀬戸さんなんか、感じたことがあったらどんどん言って欲しいと言ってくれるし、こっちも勝つ為に要求もするから、良い関係をつくりあげようとしてくれていましたね。」(徳嶽裕太 キャプテン)
ベテラン選手が一方的に意見を押し付けるわけでなく、チームには誰もが意見を言える雰囲気がある。立場は関係なく意見の共有が出来るからこそ、常に1つの方向を向いて戦うことが出来た。

「上から若手まで、全員が意見を言い合える。ファイルは特にそういう環境だと思いますね。だから若手が伸び伸び出来る」(徳嶽)

「基本的に皆いい子だし、上にいる人間は上にいるなりに下の子ともお互いリスペクトしてやっているので、すごく良い人間関係が出来ています。」(瀬戸真司)

「愚痴とかマイナスな部分がまったくない。ひたむきに、自分たちがどうすれば強くなるのかということを本当にわかっているし、上手くいかなくても、皆で励ましながら頑張っている。それがチームの空気にあるので。特に若い子なんかは、それで伸びるよなって思いますね。」(吉成監督)

新陳代謝が活発なファイルが、常に団結出来る理由。壁がなく、ズムーズに意識の共有が出来、それがプレーにつながっている。

 

3.落ちなかった3連敗。

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前期から良い流れで戦ってきたファイルだが、終盤に3連敗を喫してしまう。優勝目前に混戦を深めてしまう敗戦はダメージが強いものだが、チームはあくまでもポジティブだった。

「負けてはいたんですが、実はチームの雰囲気は結構良くて。チームとしてやりたいことは出来ていましたし、ただ結果がついてこなかった。でもそれはしょうがないかなと思っていた。」(徳嶽)

「状況的には苦しかったが、内容的にはすごく成長していた。最初のゾット戦ではすごく内容がよかった。しびれるような、ずっとやりたいと言っていたことが出来た試合だった。カフリンガ戦も、セグンド戦も。」(吉成監督)

3つの敗戦はチームを追い込むものではなく、充実と成長を実感させるものだった。「それでも、勝てないことを学んだ」(吉成監督)と反省しながらも、前を見続ける姿勢はブレず、後の挽回、優勝へと道はつながった。

 

選手たちのコメントを振り返り、以上の様な3点を挙げてみた。

関東1部のチームの中で最も入れ替わりの激しいチームだが、それでも優勝を手にするまでに至った。「誰かが抜ければ、誰かが伸びてくるんだなというのを毎年感じる。」と吉成監督は話している。
若い芽が育ち安い環境が、吉成監督を中心に作られているのだろう。

関東リーグは終結したが、PUMA CUP、地域チャンピオンズリーグがまだ残っている。まずは24日、PUMA CUP関東大会が開始となる。勝ち抜いて、全国の舞台へ立つことが出来るか。新たな関東王者に期待がかかる。

(写真・文 箕輪諒太)

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